DTMって作曲からアレンジ、ミックス、マスタリングまで行えるツールなので、作業が煩雑になりがち。
できるだけシンプルに作業した方がいいのですが、短い時間で作った方が良い作品になるとは限りません。
今回は作業の中で「効率化すべきこと、そうでないこと」について解説します。
「基礎」と「アプローチ」の考え方
作品はそのほとんどが「9割の普通さ」(基礎)と「1割の個性」(アプローチ)でできています。
基礎の構築はできる限り速く効率的に、サウンドの要となる個性には十分なトライアンドエラー(複数候補からの検討)に時間を使う必要があります。
基礎を作るときにはサウンドプリセットやテンプレートを多用して効率化し、新しく作るジャンルは作成後にテンプレ化する癖をつけましょう。
制作経験が増えるほどテンプレートのバリエーションは増えるので、どんなジャンルでも基礎の構築が速くなります。
アプローチを構成する際は、テンプレ的な動きとは反対の、普段使わない音源や手法を使った方が予定調和ではない結果を得やすいです。
失敗することを怖がらず、失敗したらボツにして次のアイデアを試すフットワークの軽さが大切です。
基礎に時間がかかると、アプローチへの意識が薄くなります。
作業に追われすぎて、個性について考えられなくなってしますんですね。
そういった意味でも、基礎を効率化してスピーディーに行えることは重要です。
もちろん、基礎の工程にもアプローチ的な要素を含むことがあります。
この場合アプローチよりの基礎もテンプレ化してストックしておくことで、基礎の中にもユニークな要素を含めて構成することができます。
アレンジがしっかりしていると、ミックスやマスタリングの形はほぼ決まってしまう
エンジニアリングは、まず楽曲の魅力を損じに伝えることがミッションなので、人によって求めるサウンドは異なりますが、方向性は大きくは変わりません。
ジャンルやサウンドによって選択やアプローチはは変わるので、ジャンルやテンポ、サウンドメイクごとに効率化できるテンプレートを作っていくと効率化しやすいです。
エンジニアリングで一番時間をかけるべきなのは「チェック」だと思います。
各作業のバイパスチェックをしっかりやる、各サウンドが持ち味を失っていないか確認する、複数の再生環境でのリファレンスチェック、モノチェック、メーターのチェックなど、チェックが一番重要な作業だと思います。
感覚で作業して、チェックしっかりやってトラブルシュート、でいいんじゃないでしょうか?
個性(アプローチ)のコツは、いかに面倒なことを面倒がらずにやるか
実験的なことをするときは「どれだけ面倒でも一回は試す」を守った方が良いです。
アレンジは一つの音で化けるので、良い音をつくるための努力は惜しまない方がいいです。
昔、「崖の上のポニョ」の音響さんのドキュメントで、「海の中で話している」というサウンドを作るために、「壺の中にスピーカーを入れて、音を出してマイクで集音し、その音を原音に混ぜる」というアプローチがありました。
正直これ見たとき「なんて面倒なことを!」と感じていたんです(笑)
仕上がりを聴くと、必要な作業だってのがよくわかるんですよね。
一度やって成功してしまえば、2回目以降は仕上がりが予測できるので、そんなに面倒じゃなくなります。
特殊なアプローチを複数覚えていくと、いつのまにか自分しかできないサウンドメイクが色々なジャンルでできるようになります。
予算や時間が決まっている仕事でも、思いついたアイデアは可能な限り試した方がいいです。
将来の自分の貴重な財産になりますから。
まとめ
「面倒臭い」って考えると、効率化するのが上手になります。
逆に、実験の時には「面白いアイデアはどれだけ面倒でもやる」というタフネスが必要です。
だらだら作業してしまうとDTM自体が辛く退屈になってしまうので、要点を理解してメリハリのある作業を心がけましょう。