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ワンルームDTMのモニター環境構築/DTMコラム

ワンルームDTMのモニター環境構築

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ワンルームDTMのモニター環境構築

音楽制作で最も重要な要素の一つに「モニター環境構築」があります。
ミキシングやマスタリングはもちろん、モニター環境が悪いとアレンジにもバランスの悪さが生まれやすいので、実務に耐えうるクオリティーまでは引き上げたいところです。

とはいえ、プロユースのスタジオのような環境を整えるには、莫大な予算が必要になります。
一般のDTMerは、限られたコストと環境の中から、バランスの良いモニター環境を構築が必要になります。

今回は、一般住宅にお住いのDTMer向けのモニター環境構築について紹介します。

モニター環境に関係する要素

モニター環境には複数の要素が影響しますが、まずはこの要素に優先度をつけてみます。
特定の項目だけ品質が良くても、バランスが悪いとフラットなモニター環境は実現できません。
※数字が若い順に優先度が高いです。
※あくまで主観ですので、感じ方には個人差があると思います。

  1. 部屋の鳴り方(サウンドキャリブレーション)
  2. モニタースピーカー、ヘッドホン(リスニングツール)
  3. オーディオインターフェース
  4. ミキシング、マスタリング補助ソフト

私のスタジオでは、レコーディングやミキシング、マスタリングの仕事を行いますが、とびあがるような高額の機材って実はひとつもありません。
モニター環境や工程上の問題をしっかりと認識し、一つ一つに対策を講じていくことで、実用に耐えうる高品質なモニター環境を実現することは難しくありません。

部屋の鳴り方

予算がない場合、部屋は基本的にデッドな鳴りを目指すべきだと思います。
デッドな鳴りとは、不要な反響音が生まれすぎない部屋のことです。

反響音は、空間の大きさ、壁の材質、部屋に置いてあるものの材質にも影響を受けます。
金属やガラスなど、反響を生みやすい材質のものにはカバーをしたり、上に重いものを置くことで反響を抑えることができます。
本や服、布団など、布や構造が複雑なもの、重いものは、吸音材の代用として使用することができます。

DTM系のモニターの場合は、特にスピーカー周りの吸音が大事だと感じます。
デスクに対して、左右の距離が対象であれば望ましいですが、距離のバランスに問題がある場合は、側面、背面を必要に応じて吸音材で反射を抑えるのが望ましいです。

キャリブレーションの活用

部屋の響きの調整には、IK MULTIMEDIA「ARC」やSonarworks「Reference」などのキャリブレーションソフトが効果的です。
元々はスピーカーやヘッドホンの響きを補正する目的で使うものなのですが、私は部屋の響きの状態を確認する目的で使っています。

reference.png上記は私のスタジオのキャリブレーション結果です。

  1. キャリブレーションの結果を確認
  2. 問題の原因を特定
  3. 部屋の配置や吸音材の設置で修正
  4. 結果をキャリブレーションで確認

上記を繰り返すことで、リスニング環境の問題点を意識しながら、長期的に改善を行うことができます。
視覚的に部屋の問題点を認識できると、エンジニアリングでもそこを踏まえて客観的な判断をすることができます。

キャリブレーションの補正は、私はDAW上ではあまり使用せず、普段の音声の再生と完成した音源のチェックにのみ使用します。
作業中の使用は手間も増えますし、キャリブレーションは位相特性に悪影響をおよぼすケースがあるので、個人的にはオススメしません。

普段の音楽を聴いたり、動画の音声などを聞くときにはキャリブレーションをつけておくと耳の偏りもなくなりやすいので、良いのではないかと思います。

モニタースピーカー、ヘッドホン(リスニングツール)

基本は、モニタースピーカーを「定位や全体のバランス」、ヘッドホンを「音質や低域のチェック」に使います。
マスタリングの際は、これに加えてイヤフォンやモノラルチェックの環境があると、より正確な判断をすることができます。

私のスタジオでは、スピーカーやヘッドホンはあまり高価なものを使用していません。
機材の導入は全体のバランスが重要ですので、音楽関係の人に相談したり、自分で製品の音を聴いてチェックしたりして、今の選択にたどり着いています。

宅録のモニタースピーカー選びの考え方

まず言えるのは「一般住宅での低域のスピーカーモニタリングには限界がある」という認識です。
スピーカーはある程度出力を出して性能が発揮される特性もあるので、部屋にあった出力のスピーカーを選ばなければ意味がありません。
あまり大きい音を出せない環境で制作をしている場合は、低出力でパフォーマンスを出せる小型スピーカーも十分に選択肢に入ります。

また、一般的なDTMデスクの配置の場合、モニタリングはどうしても、ニア(スピーカーに近い位置でのリスニング)になりがちです。
小さい部屋でスピーカーとの距離を十分にとるのは難しいですからね。

音は空間を介して立体的な音像を作ります。
近距離で大きい音を聴いても、解像度は上がっても定位感を正しく把握できる音場とはいいにくいので、配置を見直すか、その配置に適したスピーカーを選択すべきと思います。

IK MULTIMEDIA「iLoud Micro Monitor」あたりは、DTM中心となった制作シーンをよくふまえられた製品だと思います。
私のスタジオはJBL「305P MKII」を使っていますが、試聴した楽器屋でも私のスタジオでも非常にバランスの良い鳴りをしますし、安価で良い製品だと思います。

低域のチェックはアナライザーやメーター、ヘッドフォンを中心に、スピーカーは中高域の解像度と定位、バランスの良さで選ぶのがポイントではないかと思います。

ヘッドホンは解像度の高さとバランス。ボーカル収録用は密閉型がマスト。

プロ御用達で有名なヘッドホン「Sony MDR-CD900ST」ですが、これは音の解像度が高いこと、密閉型、締め付けのテンションが軽く使いやすいヘッドホンですが、明らかにレコーディング向きです。
素材を細かくチェックするのには適していますが、ミキシングマスタリングに向いてるとは考えにくく、一般のDTMerがこの製品を選ぶのには違和感を覚えます。
とりあえずこれ買っとけば無難、的なノリで選んでる人が多い印象です。
ボーカルレコーディングでは、密閉型以外は漏れ音が乗ってしまうので、かならず密閉型のヘッドフォンを使いましょう。

  1. スピーカーの代用(大きい音で確認できるツール)
  2. 低域のチェック(低域の問題点や質感のチェックは、同価格帯のスピーカーより断然有利)
  3. レコーディング含め、各素材の質感チェック

DTM用途でいうと、ヘッドホンの役割ってこんな感じかと思います。
私は、ミックスマスタリングはスピーカーメインな環境なので、2と3の目的がメインです。
特に低域のチェックは、フラットな環境をスピーカで実現するには相当なコストが必要になるので、DTM系にはマストなツールではないかと思います。

私が大事だと思うのが「スピーカーモニターと誤差が少なく感じる製品を選ぶこと」
モニターの音感がツールによって大きくずれ込むと耳が混乱するので、スピーカーモニター環境の質を向上しつつ、低音をヘッドホンで補佐していく、というイメージが望ましいです。

環境の問題で、ヘッドホンオンリーで制作を行っている、という方の話もききます。
作曲家やアレンジャーは、心地よい音で制作するのも大事ですので、それも正しい選択だと思います。
エンジニア系の作業はちょっと厳しいかなって思うので、可能な範囲で、複数のツールのモニター環境を確保されるのがオススメです。

オーディオインターフェース

  1. PC内の音声を再生する(デジタル→アナログ)
  2. マイクやラインからの音声をデジタルに変換する(アナログ→デジタル)

オーディオインターフェースの役割は、大きく分けてこの二つです。
この辺は、使われているパーツの性能に依存するので、一番コストを落としにくいのが正直なところです。
UADなど、最近は上記に加えて、DSPエフェクトやプリアンプのエミュレートを加えて、差別化を図っている製品も人気で選択肢が増えています。

プロ仕様、という点で考えるなら「RME Babyface Pro」から。
それ以下のエントリーは内容的には大差ないと考えて差し支えないので、使いやすいかどうか、機能性を見て買ってしまって良いのではないかと思います。

新しいものほど価格に対して音質は良くなりやすく、最近の製品はSN比(ノイズ比)もほとんど問題にならないことが多いです。
「Solid State Logic / SSL 2」はマイクプリも期待値が高く、ホームエントリーの新しい選択肢が増えたな、という印象です。
低価格狙うなら「FOCUSRITE Scarlett 2i2」あたりでいいと思います。FOCUSRITEのプリの恩恵も受けられますし。

前述の通りですが、再生の音質に関しては、スピーカーやヘッドホンのレベル、録音はマイクやマイクプリなどの外部機器の方が重要性が高いです。
音質は全体のバランスで構築するものですので、全体予算に対してバランスが悪くならないように注意が必要です。

レコーディングの場合、私はインターフェース直ではなく、外部マイクプリの導入を強く推奨しています。
インターフェースは録音より再生を優先される傾向が強く、マイクプリ部にコストをかけられることが少ないです。
しっかりしたマイクプリを使った方が、音の分離もよく、立体感のある音質で収録しやすいためです。

マイクやマイクプリの選び方についてはまた別エントリーにて。

ミキシング、マスタリング補助ソフト

個人レベルでのエンジニアリングでは、メーター系の補助ソフトは非常に重要性が高いです。
特に「リファレンス音源」を使って比較したり、設定値を引用するアプローチは、プロの膨大なノウハウを利用して自身のエンジニアリングに活かせるという点で、文字通りチート的なパフォーマンスを発揮することができます。

優秀なプロの作品は「正解の一つの形」を常に提示してくれます。
自分の作品と比較してリスニングすることで、自身の耳の偏りの補正や客観性を与えてくれますし、もちろん、その特性をキャプチャーして自身の楽曲に適応するなど、ツールなしではできない特殊なアプローチも可能になります。

私はレコーディングやミックスやマスタリングで、iZotope製品を多用します。
同社の売りである「AIによる自動化」には否定的な立場ですが、同社の持っている画期的な技術の数々は、エンジニアリングやアレンジの作業における面倒な作業の数々を瞬で終わらせてくれます。

メーターを目視して、判断することも多く「目:4 / 音:6」くらいの判断をしています。
常に、リファレンス音源との比較をベースにすることも大切です。
複数の要素を組み合わせて判断することで、正確なモニタリングに近づくことができます。

まとめ

どんなジャンルでもそうですが、ソフトでもハードでも特徴があり、すべての問題を解決してくれるツールはありません。
自分や環境の問題をきちんと認識し、イメージや噂に流されず正しい判断を積み重ねることが大切です。

2020年7月26日 :DTM・作曲 (9)

DTMトレーナー:高岡兼時

DTM-Online音楽教室・代表講師
音楽同人サークル『Film Records』代表。
年に2枚の作品をリリース。
他、個人/法人の制作案件をご依頼いただいております。
『Cubase Pro 8で始めるDTM&曲作り』
リットーミュージック・執筆
http://kenjitakaoka.com/

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