DTM・作曲

DTMと「音の説得力」についての考察

DTMと「音の説得力」についての考察

ずっと思っていたことがあるんですが、、、、。

DTMで良い感じのサウンド作るのむずくないですか?

レコーディングやライン録音メインで作っていると「音がどんどん良くなる!」って感じで面白いんですが、打ち込みベースの制作になると、音色の線の細さが気になったり、細かなバランスに神経質になったりします。

要するに、疲れます。
そうしてできたものって、どこか「作らされた」ような義務感を感じて楽しくないんです。
「昔は音楽作るの楽しかったのにな、、、」って思ったことありませんか?

でも、たまに配布や教材でついている、プロの録音パラデータをいじくるのって結構楽しいです。
あれ?DTMに飽きたわけじゃないのかも、、、。

私はこの原因って「DTMの音源に、線が細いものが多い」のが原因だと思っています。
今回は、この件について解説します。

なぜ、音源の線が細くなりやすいのか?

ずばり「暴れやすく扱いにくい」から。
例えば、SampletankやKontaktなどの総合型音源は、様々なジャンルやニーズにマッチングするように作られます。
多様なシーンで馴染むということは、「音の暴れている部分が無い」大きく整えられた音と考えることができます。

また、演奏レベルとのマッチングも重要です。
例えば、ピアノの演奏が得意じゃ無い人は、コンプ気味な粒立ちの揃った音源が向いてますし、ピアノ上級者なら細かなニュアンスも表現できる、ベロシティーレイヤーの多い音源の方が望ましいです。

それぞれのユーザーが個々のレベルで評価するので、例えばDAWの標準音源であれば、マシンスペック的な観点でも軽く扱いやすい音源を用意するしかなくなります。

ベンダーも商売ですから、ユーザーから嫌われては生活できません。

3rd Party製の音源には、割と面白いサウンドも結構ある

こうした多様性を重視しない外部ベンダーの音源には、確かに面白いと感じる音源は多くあります。
ただ「面白い、良い音!」と感じる音ほど扱いにくいです(笑)

例えば、SoniccoutureのMORPHEUSという私の好きな鉄筋の音源があります。
めちゃめちゃ良い音なんですが、ちゃんと調整しないとめちゃくちゃ暴れます。
仕事で制限時間がある状況だったら、確かにこれを選ばないかもなぁ、という気持ちもわからなくはありません。

こうしたいわゆる「暴れ馬ナイスサウンド」な音源は、マッチするシーンごとに複数用意できると、素晴らしいパフォーマンスを発揮します。

馴染みやすい音源にひとつだけ暴れ馬を追加する、アプローチができるだけで、作品の質は大きく変わると思います。

マイクで録音したソースの方が、どう考えても音が良いし混ぜやすい

私はレコーディングの仕事も多くするのでとくにこれを実感しますが、どう考えても録音ベースで制作された楽曲のほうが音が良いです。
※EDMなど打ち込みベースの音楽はそうはいきませんが。

録音の場合、どのプリでどんな設定で録ってみようとか、マイキングどうしよう、とか打ち込みやライン録音では通らない工程で音へのアプローチが発生します。
細かく言ったらキリがありませんが、シンプルにいうとこうやって作った方が楽しいし早いし音が良いんです。
CPUやメモリに余計な負荷がかかり続けないのも大きなメリットです。

そんなわけあるかい!って人は、一回スピーカー出しした打ち込みのトラックを、スピーカー前にマイク立ててリアンプしてみてください。
プリの設定、マイクのセレクト、マイキングでサウンドがまるで変わりますし、打ち込んだままより面白い結果がでます。

リコールできないって?良い音にリコールなんて必要あります?

クオンタイズというDAWのガン

クオンタイズは便利ですが、クオンタイズが音楽をつまらなくしている割合って高いです。
基本的に「修正する」ツール全般は、プレイヤーのレベルを下げがちです。

クオンタイズに頼ることで演奏レベルは下がりやすいし、ボーカル修正はプレイヤーのピッチやリズムへの意識を低下させます。
過度に頼るのは長期的にみて作品にとってマイナスです。

また、演奏のずれ、つまりプレイヤーのグルーブってアンサンブルにとってすごく重要というか必須事項です。
これを数値やビジュアルで無意識に揃えてしまう作業は、作品をこの上なく退屈にしてしまいます。

最近のクオンタイズ機能は、パーセンテージでそのかかり具合を調整できるものが多いです。
クォンタイズを70パーセントくらいにおさえて使うことで、ズレを補正しつつグルーブをキープすることができると思います。
クオンタイズにおさまるくらいにはきちんと演奏してくださいね(笑)

線の細い音を使っていると、トラック数が増えます。

音の線が細い場合、その細さを隠すために他の音をいれて問題を解決しようとします。
いわゆる「埋め系」のアレンジになり、こうなっちゃう人のアレンジって全部サウンドがごちゃついていて、隙間がなくダイナミクスがはっきりしません。
この手法に陥ると「音の少ない曲」がつくれなくなります。

「音の弱点を隠す」ネガティブなアプローチでなく「説得力ある音をいかにして作るか?」
魅力を作り出すというポジティブな考え方が必要です。

結論「気持ちいい音って正義」

良い音を作れるようになると、アレンジやミキシングは「調整」ではなく「選択」になります。
アウトボードでアプローチできる環境がある人は、打ち込みのトラックやリバーブをアウトボードのプリやEQを通すだけで大変身。
Acustica Audioのプラグインでも似たようなことができますよ。
ぜひ、試してみてくださいね。

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